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ターボパラレルハイブリッドとリチウムイオンキャパシタの技術を発表した富士重工業

(2005.08.31)

スバルは電気自動車で勝負します。R1eコンセプト登場!

水平対向エンジンとAWD。この世界にもたぐいまれなる駆動方式を武器に、独自の地位を築いているスバル。このメーカーは昨今声高に叫ばれている環境問題に対しても独自のアプローチを魅せており、先頃おこなわれたスバル技術プレゼンテーションでは独自の技術力を一般に公開した。

量産化はもうすぐ?ターボパラレルハイブリッド

ターボパラレルハイブリッド

 ではでは、まずは2007年度より試験的市場導入を予定しているターボパラレルハイブリッドの説明から。

 ターボパラレルハイブリッド(略称:TPH)は、トヨタがすでにプリウスやハリアーで導入しているハイブリッドシステムとは違うモノであることが大きな特徴。そもそもメーカーが違うのだからシステムが違って当然だろうと言われてしまえばそうなのだけれども、少し違うのである。いや、大きく違うのである。

 現行プリウスに搭載されているTHSIIや、ハリアーハイブリッドに搭載されているTSII for SUVと同じでガソリンエンジンと電気モーターのいいとこ取りであることには代わりがないのであるが(それはホンダのハイブリッドシステムもそこは同じ)、それ以外が大きく違うのである。

 なんだか自分で書いていても非常にわかりづらいので、もっとわかりやすく説明を。

 トヨタのTSIIはモーター+エンジン、もしくはモーターのみ、はたまたエンジンが動力を生み出しトランスミッションを介してクルマを動かす仕組み。スバルのTPHはエンジンで発生したパワーをモーターで後押しし、パワーアップしたパワーをトランスミッションに介してクルマを動かすという仕組みとなっている。

 まだ難しい。

 もっとわかりやすく言うと(極端に言うと)TSIIはエンジンとモーターが独立しており、そこからでたパワーがトランスミッションに伝わる仕組みである(本当はもっと複雑怪奇で言葉で説明しづらい仕組みとなっている)のに対して、スバルのTPHはエンジンとトランスミッションの間に10kwのモーターを挟み込む仕組みとなっているのである。

 このように書くと「トヨタのハイブリッドの方が良いではないのか?」となってしまうのだが、ハナシはここで終わらないので要注意。

 プリウスを中心にハナシを進めさせてもらうが、プリウスに搭載されているTSIIシステムのガソリンエンジンはアトキンサイクルエンジンであるのに対して、スバルのTPHではミラーサイクルエンジンを搭載しているのである。

 アトキンソンサイクルエンジンとは燃費効率を徹底的に追い求めたエンジンであり、燃費はよいのだがパワーがないという特徴を持つエンジン。徹底的に燃焼効率を追い求めたユニットのため高膨張比サイクルとも言われているのである。高燃焼効率=高膨張=超低燃費=良いエンジン・・・だったらたくさんのクルマに積まれているのであるが、そうではないのが現実。高膨張比になればなるほど高圧縮のエンジンとなり、プリウスに搭載されているガソリンエンジンの圧縮比はなんと13。普通だったらノッキングが起きてまともに走れないほどの高効率エンジン&低パワーエンジン(とは言っても1.5リッターで77馬力は発生している)となってしまっているのをモーターの力とトヨタの技術力を持って普通以上のパフォーマンスになっているのである。

 一方、ミラーサイクルエンジン。ミラーサイクルとは、通常の4サイクルに対して、吸気バルブの遅閉じ(圧縮行程の途中まで開いていること)によって、圧縮比に対して膨張比を高めたエンジンのこと。これにより通常のエンジンは圧縮比=膨張比となっているところを、圧縮比<膨張比とさせ、高効率(低燃費)を実現させているのである。アトキンソンサイクルエンジンとは違い高出力も実現できるのがミラーサイクルエンジンの利点でもあるのだが、ミラーサイクルエンジンには大きな弱点があるのである。それは低回転時のトルクが細いということ。この細くなった低回転時のトルクを補うためにスバルのTPHではモーターでアシストするような仕組みとなっているのである。

 つまり、ガソリンエンジンの美味しさを低燃費で思いっきり味わいましょうというのがTPH。なにしろこのミラーサイクルエンジンはスバル自慢の水平対向エンジンであるのだし、なおかつターボ加給までされているのであるから。

 さすがスバルである。WRC直系のDNAを受け継ぎつつ地球に優しいクルマにしてしまうというのだから、あっぱれである。ちなみに、このシステムはコストパフォーマンスにも優れているというハナシなので、市販車両の価格も大いに楽しみなところである。

電気自動車の概念を変える? リチウムイオンキャパシタ

リチウムイオンキャパシタ

 そして、TPHと並ぶ目玉の技術がリチウムイオンキャパシタである。このリチウムイオンキャパシタは、従来のキャパシタの特徴である大容量の電気を瞬間的に充放電できることや耐久性の高いことを生かしながら、課題であるエネルギー密度を飛躍的に増大させたモノなのである。

 で、ここで皆さんよくわからないと思われるキャパシタの説明を。キャパシタ。言ってしまえば電池の一種なのだがその構造が大きく違う。電池は化学反応で電気を貯め、その電気をゆっくり使うのに対して、キャパシタは静電気で電気を貯めて、瞬間的に電気を放電できるのである。このキャパシタは化学反応を伴わない蓄電機構になっているので出力密度が高く、耐久性に優れているのが大きな長所である(耐久年数は15年以上とも)。ただし、蓄える電気量が少ないという欠点があった。

 この欠点を補うために開発されたのがエネルギー密度を格段に増大させたリチウムイオンキャパシタなのである。

 現在、富士重工業はリチウムイオンキャパシタによる試作セルで性能確認を進めているという。そして将来、小型の自動車用リチウムイオンキャパシタを実用化すれば、バスやトラックなどの大型車のみならず乗用車などのハイブリッド車の需要や、一般的な鉛電池の代替需要にも応える可能性を持ち、環境技術のひとつとして社会貢献が期待できるということである。

R1eコンセプト

そしてR1eコンセプト

 これら富士重工業の地球に優しい技術の集大成といえるのがR1eコンセプトなのである。

 R1eとはその名前からわかるとおり、スバルで販売されている一番小さな軽自動車。これをベースとした電気自動車なのである。電気自動車なワケなので、ボンネットを開けるとそこにあるのはエンジンではなくモーター。ガソリンエンジン車ではバッテリーが搭載されている位置にあるのがリチウムイオンキャパシタとなっている。

 電気自動車なのだからモーターがあって当然といえば当然なのだが、小さな軽自動車R1に電気自動車の機能を搭載してしまったのが凄いところなのである。

 電気自動車の宿命。それは航続距離の短さ。大容量の電気を蓄えるためには大容量のバッテリーが必要となり、当然そうなればなるほどバッテリーが大きくなる。

 が、スバルはR1の車体に航続距離200km(現段階では120km)を実現させるバッテリーを搭載してしまったのだ。もちろんパワーだってでていて最高出力は40kw、最高速度は120km/hに達するというのである。

 このキモとなっているのがラミリオンバッテリー。ラミネート構造を持つNLEマンガンリチウムバッテリー最大の特徴といえば軽量・コンパクトで高さ100mm以下の水平配列も可能ということ。このバッテリーを車内に設置することで200kmの航続距離を実現するというのである。

走りの楽しさと蓄電技術に特化した富士重工業の環境技術

 富士重工業は環境問題をふまえ、現在の化石燃料から再生可能な二次エネルギーとしての電気を用いたエネルギー源へと移行するという社会的なコンセンサスの中で、蓄電技術の発展こそが、自動車分野におけるハイブリッド車や、燃料電池車、電気自動車の普及を広げる重要な要素と考えているという。

 そのため蓄電技術という特定分野に開発を集中し、最低限の投資で合理的に技術的付加価値を得るために、NECラミリオンエナジーが開発する大容量マンガン系リチウムイオン電池をスバルのハイブリッド試作車や電気自動車スバルR1eへ搭載し、実証実験へと段階的に開発を推進、実用化、量産化に向け課題の解決に取り組んでいるという。

 たぐいまれなる技術力で独自のポジションを築いているスバル。是非とも環境対策車の分野においても、その姿勢は崩さないでいて欲しいモノである。

(写真&リポート 神田卓哉)

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